ビームサントリー社の新作ウイスキー「LEGENT」

──しかし、「プロ経営者」の筆頭格と呼ばれる新浪さんとしては、「すぐに成果を上げなければならない」という思いもあるのでは?

 経営者は誰しもプロでなくてはいけない、というのが前提ですが、大事なものは2つあると思います。まず「自己犠牲を伴ったリーダーシップ」を持つということ。言い換えれば、社員にも会社に対しても深い愛情を持たなければならない。

 もう一つは「モデスティー(慎み深さ)」じゃないでしょうか。自信過剰だと本当にいい経営者にはなれないと思うんです。自分の判断が正しいか常に不安があるから、常に自分を磨こうと追い込んでいける。自分は権力者で偉いんだとふんぞり返ってしまったら、その時はもう引退しなければいけない。それが経営者だと思います。

 そういう意味で重要なのは、社長に物を言ってくれる右腕を置くことです。その助言を聞いて、少し引いて判断するのがトップですから。自分だけの判断でやっていたら、会社はおかしくなってしまいます。

──新浪さんには右腕がいますか?

新浪:今の2人の専務がまさにそうで、タイプは違うんですが2人とも「違うものは違う」と意見してくれる。ありがたいですね。

 私は外部から来ていますから、その業界に長くいる人間とは違う視点や目線を持っている。「新しいこと」をやるのを常に大事にしていますし、それが自分の強みだと考えている。しかし同時に、だからこそ見えないものもある。生え抜きの役員たちにはそれが見えているわけですから、つばきを飛ばして侃々諤々と議論を戦わせます。

 トップの私が「それはダメだ」と言ってしまうことは簡単ですが、重要なのは、会社を愛するがゆえに私に直言する心意気を、トップとして絶対に感じないといけないということです。

【PROFILE】にいなみ・たけし/1959年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1981年に三菱商事入社。1991年ハーバード・ビジネススクール修了(MBA取得)。2002年ローソン社長、2014年会長。2014年10月にサントリーHD社長就任。

●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):かわの・けいすけ/1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

※週刊ポスト2019年4月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン