そんな中、調査報道を手掛ける独立系メディア「ワセダクロニクル」と「医療ガバナンス研究所」が共同で「製薬マネー」のデータベース作成プロジェクトを2017年に開始。谷本医師も参加している。
「対象は2016年度。製薬会社から医師に渡った講師謝金、コンサルタント料、原稿執筆・監修料を網羅的に調査した。これらは医師個人のポケットに入るお金です」
その結果、製薬会社から医師に渡った総額は約266億円で、講師謝金が全体の84%、約223億円を占めたという。
「日本で働く医師約31万人のうち、謝金等をもらっていたのは3分の1の約9万8000人。そのうち95%が100万円未満だった一方、0.1%、およそ100人は1000万円以上を受け取っていた。最高額は約2900万円でした」
問題は、谷本医師らの取り組みが、あくまで有志によるもので、こうしたカネの流れがわかりやすく公表される仕組みができていないことだ。それがなされない限り、「3000円の弁当」で処方薬が決まっているのではないかという疑念が、晴れることはない。
【プロフィール】谷本哲也/首都圏のクリニックに内科医として勤務する傍ら、海外の専門誌への論文投稿にも取り組む。公式ツイッター(@med_karakuri)で「薬にまつわる疑問」を広く募集中、ツイッター上で答える予定。
※週刊ポスト2019年4月12日号