──ガチ感……、『¥マネーの虎』イズムですね(笑)
岩井:出演していた影響もあったのかなぁ。最終的には「こんなストレス溜まるなら自分で主催すればええやん」といった考えに至りました。
──まさに岩井節炸裂といった感じですね。
岩井:弊社は上半期と下半期に別れていて、10月に下半期のキックオフがあります。その時、役員会も通さずに全社員に「久々に新しい事業を考えたんだけど……」と新卒採用事業について発表しました。その発表で好感触を得たので、11月には採用ソリューション事業部を立ち上げました。社内では略して“サソリ”と呼んでいます(笑)。
──“サソリ”で行う大学生と企業のマッチングイベントは、これまで行われてきたものとどう違うのでしょうか?
岩井:まず、リクルートスーツは禁止です。普段着で来てもらいます。そして、大学生の名前は明らかにしますが、大学名などは伏せたままイベントを進行します。また、マッチングイベントというとグループディスカッションののち大学生に発表をさせることが多いのですが、僕らのイベントは必ず一人一人が何らかのパフォーマンスをする形式です。就職活動をしている大学生の○○くん、○○さんということしか企業には分からない。
そこで彼らのパフォーマンスをみて、プロ野球のドラフト会議のように大学生を企業が指名していきます。そのとき、初めて大学名を明らかにします。先日のイベントでは、インスタグラマーとしてフォロワーが2万5千人いて、そこで披露しているファッション関連の販売もしている体験を語った大学生がもっとも多くの企業から一位指名を得たのですが、彼は東大でも早慶でもない、拓殖大学の学生でした。
──もし、大学名が先に分かっていたら、採用の検討すらしない企業もあったかもしれませんね。でも、こういったイベントは参加者を集めるのにもっとも苦労すると聞きます。
岩井:そのためのプロモーションとしてYouTubeを始めました。そこで開設したのが『就活の虎CHANNEL』なんですよ。2018年12月20日に最初の動画投稿をしました。
◆「荒らし」ととことん付き合って浄化する
──当初から話題となりましたが、きっと大きな反響があると予想していたんですか?
岩井:もう全然! 最初は「100回も再生されたらいいね」と社員と悠長に話していたんですよ。だから、初回から1万再生を達成した時はホンットに驚いた。けれど、すぐに気づいたんですよ。「これ見てるの『マネ虎』ファンしかいないぞ……」と(笑)
──YouTubeでは視聴者の年齢を見ることができますよね。
岩井:案の定95%が30代以上の男性で、もうオッサンばかり! 大学生は5%くらいだったかなぁ。
──全員のコメントに返信しているのがスゴいですね。
岩井:根がマメなんですよ。深夜2時から4時までは、ずーっとコメント返しをしています。
──荒らしコメントに対しても逐一対応していることにも驚きました。
岩井:荒らしとの付き合いも長いからね(笑)
『マネ虎』時代は「2ちゃんねる」(※1999年開設の匿名掲示板)が全盛で、各”虎”のスレッドもあったくらい。そこで「岩井は一番バカな社長だ」「岩井はワキガ」「岩井はホステスの愛人がいる」と嘘が書かれていたんですよ。よっぽど反論したかったけれど、周囲から「それだけは止めた方がいい」と止められて、悔しいけれど見ているだけでした。その後に始めたアメブロでもコメント欄を荒らされて……。だから、ネットでの活動はFacebookだけという状態をずっと続けていました。実名だからなのか、Facebookは荒れなかったので。
荒らしは嫌いだけれども、新規事業のためにはSNSにチャレンジすべきだと判断して始めたYouTubeですが、やはり荒らしが現れました。『就活の虎CHANNEL』で僕の悪口を書くのはいいんですよ。けれど、ゲストへの誹謗中傷は許さない。荒らしコメントを書いた人には「お前は警告1、次やったらブロックするぞ」と返信しています。本当にブロックしたのは15人くらいですかね。浄化された結果、今ではすごく良いコメント欄になりました。