ブルドッグの柄のTシャツを着た上沼恵美子

「50才を超えた女性はパートや専業主婦が多く、結婚相手によって生活に差が生じます。また子供の数によって、お年玉やお祝い金の額が変わり、子供のいない家庭だと“私はお金を渡してばかりで損だ”と気持ちがモヤモヤしやすい。それに孫が多いと祖父母が教育費などを援助することが多く、きょうだい間に不公平感が広がります。男のきょうだいはお金の問題をあまり気にしませんが、財布を握る女性はこうした格差に敏感です」

 千葉県在住の53才主婦のAさんが怒りの表情で振り返る。

「昔から母は妹にお金をかけてばかりで、私は短大なのに妹は有名私大に入りました。その分、就職や結婚も妹の方が私より恵まれて、今の暮らし向きにはだいぶ格差があります。

 50才を超えて人生の終わりが見え始めてからそのことが気になり始め、幸せそうな妹の家庭を見ては、『母が私を練習台にしてあんたを育てたからそんなに恵まれているのよ。悔しくて憎い』と私の心のなかの鬼が目を覚ますように。相続は私の方が多くもらうべきと思ってしまいます」

 埼玉県在住の52才パートのBさんが言う。

「認知症になった母の介護は確かに妹がやってくれた。だから事前に遺産放棄にも心よく署名したつもりです。それなのに、葬儀でのお香典を当然のように受け取り、しかも遺産の額も“雀の涙”と言っていたのに数百万円はあった。お金が欲しいというのではなく、妹のせこさとやり口が頭に来てしまって…。以来、関係はどこかギクシャクしたままです」

 こうした金銭トラブルを避けるには、事前の「ルール作り」が有効だが、もっとも大事なのは感謝の気持ちだと井戸さんが続ける。

「きょうだい間でもしっかりと感謝の気持ちを伝えることがなによりも重要です。金銭面で助けてもらっている分、困っていたら駆けつける、時間を割くなどすれば、相手は『早く返せ』などとは言えなくなるんです。親しき仲にも礼儀ありを徹底してください」

※女性セブン2019年4月25日号

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