2002年に現行紙幣のデザインが発表された時も、塩川正十郎・財務相(当時)は小泉純一郎・首相(当時)が推し進める「学術振興や男女共同参画」が人選のベースにあり、野口英世と樋口一葉が採用されたと明言した。
ちなみにこの時、一万円札の福沢諭吉が続投となったのは「小泉氏と塩川氏の出身大学が慶應義塾大学だから」という説がまことしやかに囁かれた。
●落選したのは誰?
「肖像画の具体的な候補者名や数は明かせない」と前出の担当者は語るが、渋沢栄一はかつて“落選”の憂き目に遭っている。
大蔵省印刷局のOBで『紙幣肖像の近現代史』(吉川弘文館)の著書もある植村峻氏はこう話す。
「1963年発行の千円札は、伊藤博文と渋沢が候補でした。偽造しにくいよう、細かな印刷技術でないと再現できないヒゲのある人物を優先して採用していたので伊藤さんになったと言われています。
現在ではホログラムや微細な透かしなど、その他の技術が発達したので、ヒゲの有無が関係なくなった。それでヒゲのない渋沢さんも採用されるようになったのでしょう」
また、「最近は“国民が嫌がる”ことを懸念して政治家や軍人は避ける傾向にある」(前出・財務省担当者)という。