前出・上村医師もいう。
「強酸性である胃液が気管や肺に入ると治療成績が悪くなる傾向があり、逆流性食道炎を伴う誤嚥性肺炎は重症化しやすい。実際に、高齢者の死因の第2位は肺炎で、がんに次いで多くなっていますが、そのうち8割が誤嚥性肺炎だとされます。60代以降の人は特に気を付けてほしい」
78歳のA氏は逆流性食道炎による誤嚥性肺炎を経験したひとり。
「なんとなく息苦しい感じが続き、夜に咳込むことが増えたので病院にかかった。すると『誤嚥性肺炎』と診断され、即入院でした。
とはいえ、食事のとき気管に入ってむせた覚えもなく、おかしいと思って医師に問い合わせたところ、『寝ている間に胃の内容物が逆流して気管に入る、逆流性食道炎による誤嚥性肺炎の疑いが強い』といわれた。
肺炎が収まったあと内視鏡検査を受けると、やはり食道に逆流性食道炎による炎症が確認された。あの息苦しさは二度と経験したくないです」
※週刊ポスト2019年4月26日号