芸能

福山主演『集団左遷!!』、『半沢直樹』など企業モノとの共通点

福山雅治の顔芸も話題に

 福山雅治主演で初回視聴率13.8%の好発進を切った日曜劇場『集団左遷!!』。福山にとって3年ぶりの連ドラ出演で、初の銀行員役ということでも話題に。これまで日曜劇場では企業ドラマがヒットしてきたが、それらとの共通点とは? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 TBS「日曜劇場」の企業ドラマのヒット作『半沢直樹』、『下町ロケット』、『陸王』、そして今季の新作『集団左遷!!』の共通点は何か?

・主人公が「熱い男」である。
・仲間とともに逆境に立ち向かう。
・強烈キャラの敵が現れる。

 どれももちろん正解だが、もうひとつ、「できた嫁(元妻も含め)がいる」というのがある。『集団左遷!!』では、長年銀行に勤めてきた主人公・片岡(福山雅治)が、支店長に抜擢され、喜んだものの、任されたのは「廃店」が決まっている鎌田支店。リストラを推進する人事担当の取締役・横山(三上博史)からは「頑張らないように」とクギを刺されるが、片岡は生来の頑張り気質で、鎌田支店廃店撤回の下剋上に挑むことになる。

 初回から取引先の社長に逃げられそうになるわ、部下に「死にたい」と言われるわ、横山の指示で支店に調査が入るわ、困った事態が連発する。そんな夫を見守る妻のかおり(八木亜希子)は、支店長就任祝いに赤飯を炊く。なのに、夫はゆっくり食べる時間もない。それでも彼女は夫に怒ることもなく、マイボトルにドリンクを用意。ダダダッと小走りで帰宅した片岡は、ボトルを握りしめて、またダダダっと走り出ていく。マラソンの水分補給か。そんなことの繰り返しであっても、かおりは落ち込む夫に絶妙なタイミングで「アイスでも」と差し出すのだ。肉でも酒でもなく、アイスというところに「ともだち感」「同士感」が出て、心憎い。

 考えてみれば、『半沢直樹』では、忙しすぎる半沢(堺雅人)に文句を言ったり、「ぜってー、負けんじゃねーぞ」と発破をかけたりした強気モードの妻(上戸彩)が、夫の勤める銀行の妻たちが集まる奥様会に出て、情報を収集するなど地道に活動。その情報が夫の「倍返し」の決定打を作った。また、『下町ロケット』では、主人公の佃航平(阿部寛)の会社が理不尽な訴訟に巻き込まれそうになったとき、元妻の和泉沙耶(真矢ミキ)が力になってくれる弁護士を紹介したのだった。

『陸王』では、老舗足袋屋を営む主人公宮沢(役所広司)が、ランニングシューズ開発という夢を追いかけ、息子(山崎賢人)と対立しても、宮沢の妻・美枝子(檀ふみ)は、ほんわかと見守る。このドラマでは、工場のベテランで縫製課のリーダー正岡あけみ(阿川佐和子)が仕事上の女房役で宮沢をサポートしていたのも忘れちゃいけない。

 ギリギリまで追い詰められた主人公たちが、ささやかなヒントをきっかけに逆転ホームランを打つ。その気持ちよさこそ、「日曜劇場」企業ドラマヒットの不可欠要素。『集団左遷!!』のかおりは、若いころはアナウンサー志望で、銀行の窓口時代はアイドル的存在だったという。

『あまちゃん』の元地元アナウンサー役に続き、かおりは八木亜希子のためにあるような役ともいえる。かおりは何かヒントを出すのか? それとも出すのは、マイボトルとアイスだけ? 彼女の存在をどう活かすか。このドラマの成功に大きく関わってくる気がする。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン