「どう死ぬか」という問いを掘り下げていくと、「どう生きるべきか」という問いにぶつかる。透析がつらいから「継続」するか、「中止」するかという選択肢はあまりにも貧しい。重大な自己決定をするときには、「生」と「死」の幅広い選択肢が示されるべきだと思う。
その選択肢をできるだけ豊かなものにすることが医療の価値であり、だれもが死にゆくものとして、「死」について考えることの本当の意味だと思う。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号