従来、鉄道会社は保守的で型破りなことに取り組まない。新IruCaのデザインで話題を集めていることでんだが、鉄道業界内では以前から異端児的な存在として知られる。
ことでんが、鉄道会社らしくない施策を打ち出すようになったきっかけは2001年に経営破綻したことだった。民事再生法の適用で、経営陣は交代。それに伴って、鉄道会社らしくない新機軸が次々と打ち出されていく。
その一例が、2005年から導入した非接触型IC乗車券「IruCa」だ。IruCaの由来は、「ことでんは要(い)るか? 要らないか?」という問いかけが元ネタになっている。かなり大胆なネーミングと言わざるを得ない。
「弊社は2001年に経営破綻し、その後に民事再生法の適用を受けました。その頃から経営刷新が図られるようになり、これまでにない画期的なアイデアを採用するようになっています。自虐的とも思えるIruCaのネーミングも、攻めていると評判の新IruCaのデザインも、そうした流れから生まれたと考えています」(同)
ことでんは「おまえを ことこと にこんでやろうか」とイルカの姿をしたマスコットキャラクターのイルカ駅員“ことちゃん”が挑発するLINEスタンプもリリースしている。また、今年3月2日からはJR東日本のSuicaやJR西日本のICOCAなども利用できるようになった。それを知らせる広告でも「イルカじゃなくてものれますよ!」と攻めのコピーを採用している。
経営再建をきっかけに、ことでんは従来の鉄道会社と一線を画す攻めの姿勢に転じた。今後も目が離せない異端児として、ことでんはたくさんの話題を振りまいてくれるに違いない。