ビジネス

ワイプかぶり中継を券面に ことでんが攻めの姿勢続ける理由

ことちゃんの管官房長官モノマネがことでん限定IC乗車券IruCaに

 平成から令和へ、元号が新しくなるにあたり、様々な記念グッズの販売やイベントが企画されている。平成から令和をまたがる特別列車や記念切符なども計画されているが、券面デザインは鳳凰など奉祝の意味を込めた恭しいものが多い。ところが「ことでん」こと高松琴平電気鉄道では、ネットで盛り上がったある一場面をモチーフに新元号記念の限定ICカードをデザインした。ライターの小川裕夫氏が、「ことでん」が攻めの戦略を採り続ける背景についてレポートする。

 * * *
 4月1日、テレビの前で思わず「見えねーよ」と画面に向かって叫んだ人は多かったに違いない。新元号の発表を生中継したNHKは、聴覚障碍者のために画面の左にワイプ(小窓)で手話の同時中継を実施。

 菅義偉官房長官が掲げた「令和」の色紙は、そのワイプにモロ被りした。思わぬハプニングは一部で話題になったが、これを逆手にとってIC乗車券の券面に採用した鉄道会社がある。それが、高松琴平電気鉄道だ。

 地元民から“ことでん”の愛称で親しまれる高松琴平電気鉄道は、県都・高松市を中心に、“こんぴらさん”で知られる名刹・金刀比羅宮などにも路線を持つ。

 これまで同社が発行していたIC乗車券は、イルカのマスコットキャラクター“ことちゃん”が券面に描かれた愛らしいデザインだった。今回の新IC乗車券でも”ことちゃん”がデザインされているが、かなり攻めている。

「今年のゴールデンウィークは、平成から令和へと切り替わるタイミングにあたります。また、5月1日が祝日になるので、10連休になります。弊社では2019年4月27日から2019年5月6日までの10日間のうち、指定の2日間で利用できるフリーきっぷを販売することにしました。それと同時に新デザインのIC乗車券IruCaを発売する予定でした。

 フリーきっぷは硬券でクラシカルなデザインだったので、IC乗車券は新元号を祝う明るいイメージにしたい。記憶に残る1枚になってほしいという思いから、あの名場面を券面デザインに採用しました」と話すのは、高松琴平電鉄サービス運輸部の担当者だ。

 新IC乗車券では、“ことちゃん”が「令和」の色紙を掲げているような仕草をしている。そこに、ワイプのような小窓が描かれており、その中には”ことちゃん”の恋人である”ことみちゃん”が何かを訴えかけようとしている。これは、「令和」発表会見を彷彿とさせる。

 かなり攻めた新IruCaのデザインだったが、利用者や問い合わせの電話では好意的な反応が目立ったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン