──そうした景気の先を読む力は、どうやって養ったのでしょう?

似鳥:米国経済を定点観測することです。世界経済を牽引しているのは米国だし、時代の最先端をいくので変化のスピードも速い。ですから、40代の頃から毎年5月と10月の年2回、必ず米国の市場動向を視察に行きます。年間約1200人の社員を引き連れて、米国で研修も行なっています。

 米国の現状を見れば、日本の10年から15年くらい先がおおよそ見えてきます。米国で起こっていることは一旦丸飲みし、真似てみて活かせるものは活かし、そうでないものは捨てていく。とにかく、半年おきぐらいの間隔で米国へ毎年毎年行って、肌でその変化、潮流を感じることが大事です。

──米国の動向で、最近特に注目していることは?

似鳥:ネット企業はリアル強化へ、リアル企業はネット強化へというトレンドですね。アマゾンがホールフーズという食品スーパーを傘下に収めましたが、一方で、ウォルマートはM&Aも含めてネット分野に力を入れ、どんどんネット関連の売上げを伸ばしている。つまり、ネットとリアルの巨人同士がお互いの得意分野を侵食しているわけです。

 一方、その狭間で苦しむ企業は倒産の憂き目に遭うケースが増えています。家電量販店は最たる例で、書店も一部の小さなところしか残っていない。米国で起こったことは必ず、日本、ひいては世界中に伝播していくと見ています。

【PROFILE】にとり・あきお/1944年樺太(サハリン)生まれ。株式会社ニトリホールディングス会長。北海学園大学経済学部卒業。広告会社へ就職した後、札幌市内に「似鳥家具店」創業。1986年、社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部へ上場。32期連続の増収増益を果たしている。

●聞き手/河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。ジャーナリスト。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

※週刊ポスト2019年5月17・24日号

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