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桜花賞馬不在のオークスだが無理な穴狙いは必要ない理由

混戦をどう狙うか

 今年の樫は桜花賞馬不在、文字通りの混戦である。週刊ポスト誌上で平成競馬をキーワードに『60歳からの「儲ける競馬」』を連載するライター・東田和美氏がオークスについて考察した。

 * * *
 平成30年間のオークス馬といえばエアグルーヴ、そしてベガ、シーザリオをあげたい。この3頭は、産駒がGⅠ馬になっている。他にもアドラーブルや、ダンスパートナー、シルクプリマドンナが重賞勝ち馬を世に送り出しているが、ベガはアドマイヤベガとアドマイヤドン、エアグルーヴはアドマイヤグルーヴとルーラーシップ、シーザリオにいたってはエピファネイア、リオンディーズ、そしてサートゥルナーリアと3頭ものGI馬の母だ。

 複数のGⅠ馬を産んだ日本のGⅠ馬は他にアグネスフローラ(桜花賞/アグネスフライトとアグネスタキオン)とビワハイジ(阪神3歳牝馬S/ブエナビスタ、ジョワドヴィーヴル)がいるが、自らのGⅠ勝利は一つだけ。上記3頭はオークス以外のGⅠも勝っている。

 なかでもエアグルーヴは母・ダイナカールもオークス馬という血統。古馬になってから、天皇賞(秋)を勝って年度代表馬にもなった。

 アドマイヤグルーヴはダービー馬ドゥラメンテを産み、ルーラーシップは菊花賞馬キセキをもたらしている。サンデーサイレンスとの間に生まれたサムライハートは、5戦(3勝)のみで引退したが、種牡馬として人気を集め、産駒は100勝以上あげている。2004年のセレクトセールで当時の最高価格で落札されたザサンデーフサイチも、産駒フィデオグリーンが今年2月に産駒初勝利。ラストグルーヴの子ランフォザローゼスは、今年のダービーにも出走する。

 このオークス馬3頭がノーザンファームの生産馬だというのは偶然ではないだろう。

 さて平成のオークスは1番人気が9勝2着7回。5番人気までが25勝と、比較的堅く収まっている。

 オークスといえば、桜花賞から800mも距離が延びるため、「距離適性」が取りざたされることが多いが、藤沢和雄調教師によれば「この時期の3歳牝馬に2400mが適しているステイヤーなど1頭もいない」(小学館新書『GIの勝ち方』より)とのこと。やはり桜花賞で上位に来たような、能力の高い馬が優勢だというのだ。

 その通り、平成30年間の勝ち馬のうち23頭が桜花賞からの参戦(1989年のライトカラーは桜花賞8着後トライアルを経て参戦)で、うち6頭が2冠を達成、2着からの戴冠が5頭、3着から3頭だが、メイショウマンボのように10着から巻き返しているケースもある。

 桜花賞からの参戦は2着馬も22頭、3着馬も18頭。昨年のように1~3着すべてが桜花賞経験ありというのが10回、ワンツーだけでも5回ある。

 桜花賞当日に行われる2000mの忘れな草賞の1着馬が4勝しており、これをもって「距離適性」というのだろう。年によって違いはあるかもしれないが、桜花賞に出走がかなわず、やむを得ず忘れな草賞を使ったといったケースが多い。ここを勝ってオークスに駒を進めた馬の成績は〈4 0 3 20〉と微妙。二桁着順が12頭もいるのが気になるが、あえていうなら2000mでも折り合いが付くという「距離適性」はあるのかもしれない。

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