◆「都市間輸送の効率化」も提案
──社長に就任してから次世代の物流サービスを提供する100%出資子会社「NEXTロジスティクス・ジャパン」を立ち上げた。自動車メーカーの枠を超える事業に進出した狙いは?
下:物流業界の課題は多岐にわたります。宅配ビジネスでは、物流の最終拠点から利用者宅まで運ぶ「ラストワンマイル」の問題が大きく取り上げられていますが、私がそれ以上に危機的だと思っているのが東京―大阪や、東京―福岡などの「都市間物流」です。いま、長距離ドライバーのなり手が激減しています。この問題に早急に取り組まなければならない。
──ドライバーやその家族も長時間勤務に不安を抱えていて、切実な問題となっている。具体的にはどんな変革が必要ですか?
下:ドライバーの効率をもっと上げられるよう、ハード面とソフト面の双方から物流システム自体を変えていく必要があります。
たとえば1人の運転手が複数台のトラックを運行する「隊列自動運転走行」でこれまで2人で運んでいた物を1人で運ぶとか、トラックの積載率を現在の40%から60%にできれば、今まで3台で運んでいたものを1台で運べる、といった効率化につながります。
さらには、トラックには積載重量制限がありますが、たとえば重い商品が多い飲料メーカーと軽い菓子メーカーの物流をマッチングさせて大量輸送できないかなど、荷主、トラック事業者といった物流に関わる色々な方にも入ってもらい、一緒に新しい仕組みを提案していきたい。
いま、自動車業界は100年に一度と言われる大変革期を迎えています。それは乗用車だけでなく、商用車も同じ。もしかしたら、変化の波は商用車のほうが早く訪れるかもしれません。