取組に臨む炎鵬。夏場所は6連敗で負け越し(時事通信フォト)
このままでは、待望の日本人横綱として期待されながら、故障に泣いて引退に追い込まれた稀勢の里(現・荒磯親方)の二の舞だと危惧する声もある。
「元・貴乃花部屋の力士たちの心の師は今でも貴乃花なんでしょう。本来、ケガが悪化しないように再出場を止める立場の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)が、コントロールできなかった。
稀勢の里にとっても師匠はあくまで亡くなった先代(元横綱・隆の里)だった。現役時代の実績で稀勢の里に劣る田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)が、ケガを押しての出場を止められなかったのと同じ構図だ」(後援会関係者)
貴乃花も隆の里も、現役時代、「ガチンコの中のガチンコ」と呼ばれた横綱だった。誰に対しても手加減なくぶつかり、相手も手を緩めないため、ケガが避けられない。休場に逃げないから、ケガが癒えない。
そうした系譜を継ぐ手負いの貴景勝は、昇進2場所目にしてカド番大関として名古屋場所に臨む。カド番制度が始まった1969年7月以降、新大関の場所で休場したのは前の山、大受、増位山、曙、千代大海、武双山、栃ノ心の7人。
「翌場所でも勝ち越せず、『2場所で陥落』に追い込まれた唯一の大関が、やはりガチンコとして知られた武双山(現・藤島親方)でした。“大関互助会”などに見向きもしなかった武双山は、休場明けの場所も激しく攻め立てられ、4勝11敗に終わった。貴景勝が、同じ道を辿ることになりはしないか……。猛暑厳しい名古屋だけに、体調管理も難しい」(ベテラン記者)