横綱の鶴竜(時事通信フォト)
このシナリオが現実になる可能性は、決して低くない。「名古屋では貴景勝に対してがっちり“包囲網”が敷かれる」とみるのは、ある若手親方だ。
「5月場所を休場した横綱・白鵬が戻ってくる。衰えは隠せないが、『東京五輪開会式での土俵入り』の野望を果たすため、貴景勝は早めに潰しておきたい」
白鵬がいないうちに勝ち越したい──そんな焦りが、貴景勝を無謀な「再出場」へと駆り立てたのか。
ただ、名古屋で包囲網を形成するのは白鵬やモンゴル勢だけではない。
◆絶好の“懸賞首”
中日に再出場した貴景勝は、碧山との一番ではたき込みで敗れ、痛めている膝を土俵に強打した。
「碧山、そして翌9日目に対戦予定だった栃ノ心(関脇)には、師匠である春日野親方(元関脇・栃乃和歌)が、“貴乃花部屋の残党には後れを取るな”と、発破を掛けているでしょう。一連の『貴の乱』では協会執行部の中心人物として貴乃花を厳しく追及した急先鋒ですから。栃ノ心には春場所千秋楽で貴景勝に敗れて大関陥落が決まった因縁もある。今場所は再出場した貴景勝に相次いで“遺恨試合”が組まれ、審判部に何か意図があるのかと、思わず勘ぐりたくなった」(同前)