◆若者に通じた「職人気質」
──ビール市場が停滞する中、サッポロの主力ビールである「黒ラベル」は4年連続で売り上げが増えている。若者のビール離れが喧伝される時代ながら、特に20代で「黒ラベル」の支持が上がっているという。どう分析しますか?
高島:価値観の多様化が進む中、ビールの選択にもこだわる若い方々が多いと感じます。また、かつてのようなビールの箱買いは少数派となり、「今日はこの銘柄を1本」という買われ方が増えています。そうした消費スタイルの変化に対し、大人な雰囲気で、どこかものづくりの精神も感じることが「黒ラベル」選択のきっかけになっているのかもしれません。
ずっと変わらない白地に黒丸、ゴールドの星印という、シンプルなパッケージも若い人から支持されていますし、2010年から続けている妻夫木聡さんの「大人のエレベーターシリーズ」CMの効果も大きい。ホストの妻夫木さんと人生の先輩であるゲストとの本音トークに若い方々も共感してくださっています。
ゲストは、それぞれの世界で一流のプロフェッショナルとして知られる方々ばかり。その方々の生き様と「黒ラベル」の大人で職人気質なイメージとを重ね合わせてくださっているのだと思います。
──ブランドイメージ以外の面で大事にしていることは?
高島:“できたての生ビールの味わいをご家庭でも”という基本理念は、発売当初から全く変えていません。
「黒ラベル」は「旨さ長持ち麦芽」を一部使用しています。通常の麦芽には風味を劣化させる脂質酸化酵素という成分がありますが、この麦芽はその成分を持たない大麦から生まれました。ビールメーカーとして世界で唯一、ビール大麦とホップの両方を長年自社育種し続け、商品の価値を高める研究を継続してきたからこそ実現できたことです。
「社長は商品について、本当に熱く語りますね」と社員から言われますが、そうでなければお客様に届かないし、先人たちに申し訳ない。すべての社員に、もっともっとサッポロのものづくりの想いを熱く語ってほしいです。