多くの業界で給与水準のピークは1995~1997年だった。現在は年齢を経ても賃金の上り方はゆるやかになり、昇進時期も遅めになっている。そのため、社員の生活が厳しいのは事実だ。経営者は、社員が生活残業をしなくてもよい程度の、世間並かそれ以上の給与を社員に支払えるようにすること。それにはイノベーションを起こしたり、業務フローを工夫し効率化するなどして、価格競争に巻き込まれないようにする必要があるだろう。

 働く側は、時間内に中身の濃い仕事をして仕事のスキルアップを続け、仕事の難易度が上がったり、責任が増えていったりすることで給与アップを目指す、というのが本来の姿だ。

 ドラマ『わたし、定時で帰ります。』でも、なるべく残業をしないようにしよう、働く人のさまざまな事情に寄り添う仕事のあり方にしよう、と奮闘する人たちが描かれている。それはどちらかというと現場からの取り組みであり、管理職側からの働きかけは弱いように見える。やはり労使双方の努力が必要だ。

 働き方改革は、経営者にとっては義務や規制と考えると苦しいだけのものになるし、労働者にとっては管理や監視が強まると思うと窮屈になるだけ。少なくとも“使われる身”である私たちは、残業代が減ったと嘆くのではなく、働き方改革をこれ幸いと捉えて、“自分改革”に利用したいものだ。

●取材・文/岸川貴文(フリーライター)

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