国内

元次官に殺害された息子が女性に伝えた「大切な人」の存在

送検のため警視庁練馬署を出る熊沢英昭容疑者(共同通信社)

 元農林水産省次官の熊沢英昭容疑者(76才)が、息子の熊沢英一郎さん(享年44)を自宅で刺殺した事件。熊沢容疑者は英一郎さんの上半身を何度も刺し、自ら通報。取り調べに対し、5月下旬に川崎市で児童ら20人が殺傷された事件に触れ「息子が他人に危害を加える恐れがあった」と供述したという。だが、英一郎さんが亡くなる2日前まで連絡をとっていた女性・サツキさん(仮名)は、こう語る。

「報道を受けたネットの反応を見ていると、『彼は殺されてもしょうがなかった』といったような意見が少なくありません。でも、私はそうは思えないのです。彼は、少なくとも私にとっては、今のように悪く言われるような人ではなかったからです」(サツキさん、以下同)

 報道では、英一郎さんが両親に暴力を振るっていたこと、ネット上で他のユーザーを挑発するなどしていたこと、近所の小学校で開催されていた運動会について「うるさい、子供たちをぶっ殺す」と発言したとされていることなどが、容疑者に行動を起こさせたと繰り返し報じられている。それが「父親が息子を殺害したのは仕方がなかった」という論調につながっていると見られる。一方で、前述のサツキさんのような声はほとんど聞こえてこない。

 サツキさんと英一郎さんの出会いは約2年前。2人がプレイしていたオンラインゲームを介して知り合った。

「私のツイッターのアイコンをそのゲームのキャラクターにしていたら、英一郎さんからフォローされたんです。それでお互いにダイレクトを通じて、やりとりをするようになりました。リアル世界で会うことはなかったのですが、この2年間、頻繁に連絡を取り合っていました。

 英一郎さんは当初から、『自分の父は農林水産省の事務次官を務めた、あの熊沢です』と明かしていました。それは自慢するといった印象ではなく、お父様のことを尊敬していることが伝わってきました」

 オンラインゲームでは、プレイヤーたちは好きなキャラクターでゲームに参加する。そのゲーム内の「仮想空間」で知り合った他のプレイヤーたちとチームを組んで一緒に戦うこともできる。近年、オンラインゲームがきっかけで交際や結婚にいたる男女も少なくない。

 サツキさんと英一郎さんは、そういった男女の仲にはならず、攻略法を相談しあったり、英一郎さんが珍しいアイテムを彼女に送ったりと、“戦友”のような関係だったという。

 最近のやりとりで、サツキさんの心に強く残っていることがある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン