元開業医の妻Bさん(78)の息子(53)は大学卒業後、一度も定職についていない。夫が3年前に亡くなったため、相続税や維持費の関係で広大な自宅を売却して、手狭なマンションでBさんと息子は暮らし始めた。
「生活は昔のように楽ではないのに息子に働く気はなく、家でゲームをして過ごしていまだにお金をせびられます。今は狭いマンションなので息子と顔を合わさざるを得ず、ストレスで息が詰まります。
包丁やナイフは人目につかないようにして、使う時は引き出しの奥から取り出します。息子が凶行に使う怖れがあるからではなく、私が衝動的に使うことが怖いからです。大げさでなく、あの元次官には同情してしまっているんです」
もちろん熊沢容疑者の犯罪は感情論で容認されるものではない。だが今の日本で、同じような悲劇がいつ繰り返されてもおかしくないことも確かである。
※週刊ポスト2019年6月21日号