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天覧試合60年の証言、長嶋のHRに隠れた広岡&藤田の重要局面

天覧試合から60年、秘話を明かす

天覧試合から60年、秘話を明かす

 令和元年はプロ野球界にとっても節目の年となる。歴史上唯一、天皇が球場でプロ野球公式戦を観戦し、プロ野球が国民的娯楽となった1959年6月25日の「天覧試合」から、ちょうど60年となるからだ。

 昭和天皇が皇居から水道橋方向を見て「あの灯りは何か」と侍従に問うたことから実現したとされる天覧試合は、天皇が退席する直前に巨人・長嶋茂雄が劇的なサヨナラホームランを放ったことで知られる。

 当時実際にグラウンドに立っていたメンバーたちに取材。貴重な「60年目の証言」をお届けする。

 試合開始は19時。巨人・阪神の両軍が一列に並んで、貴賓室の昭和天皇・香淳皇后に一礼するところから始まる。後楽園球場は、試合前からただならぬ緊張感に包まれていた。球審を務めた島秀之助審判部長は「試合中、陛下に尻を向けてしまう。横を向いて立つべきか」と真剣に悩んでいたという。

 先発は巨人・藤田元司、阪神・小山正明の両エース。小山氏はこう述懐する。

「選手全員が両陛下に野球を楽しんでいただきたい気持ちが強かった。だから守備交代はもちろん、内野ゴロでも全力で走るなど、とにかく一生懸命のプレーを心掛けました。鳴り物の応援も禁止されていたこともありますが、球場全体がいつもと違う雰囲気でしたね」

 エース同士の投手戦となるはずの試合は二転三転の打撃戦となる。7回に王貞治がホームランを放ち同点とするが、そのまま9回に入って時刻は21時を回った。

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