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ブームの令和元年「御朱印集め」のルールとマナー、そして嘆き

明治神宮に来ていた「御朱印ガール」3人組。「マナーを守ってほしいです」と3人は訴える

 2000年代から広まった「パワースポット」ブームがきっかけとなり、集める人が増え始めた「御朱印」。さらに、2013年に伊勢神宮の「式年遷宮」と出雲大社の「平成の大遷宮」が重なると、「御朱印ガール」という言葉も生まれるほどの社会現象へと発展した。

 御朱印にはどんな意味があるのか。神社仏閣専門家の坂原弘康さんが説明する。

「もともとは“納経印”といわれ、お寺に参拝した際に自分で書いた写経を納めた証として、納経帳や掛け軸などに朱印を押していたものです。やがて、神社でも同様に参拝の証として押すようになりました。昨今の御朱印集めは、室町時代に盛んだった“西国観音巡礼”などがルーツにあると考えられます。

 明治時代以降は、神社は神道、お寺は仏教と分かれていますから、神社仏閣両方で御朱印を集める場合は御朱印帳も分けた方がいい。混在している御朱印帳には書かないというポリシーの神社やお寺もあります」

 御朱印代は、300~500円くらいを提示しているところがほとんどだが、「お気持ちで」と言われることもある。その時は、同じくらいの額を納めればよいだろう。おつりの必要がないように、小銭を用意しておくこともマナーだ。

「御朱印帳以外のノートを使ったり、御朱印帳にほかのことを書くのもNG。また、神主さんや住職さんは御朱印を書くだけが仕事ではありませんから、忙しい時は無理を強いてはいけません。食事時などもできれば避けましょう。御朱印帳をお渡しする時は、逆さまに書いてしまったというトラブルが起こらないよう、書いてほしい場所を開いて、すぐに書ける向きで御朱印帳を渡しましょう」(坂原さん・以下同)

 ブームの盛り上がりとともに、参拝客に楽しんでもらうためイラストを描いてくれる神仏も増える一方で、問題となっているのが、御朱印を「スタンプラリー」のように扱う人たちの存在だ。

「御朱印は、あくまで参拝した証です。御朱印を戴く前に、必ず参拝するのが基本。その際は、由緒書きの看板などを見て、どのような神や仏が祀られているのか、どんな歴史があるのかを理解しておくと、御朱印への親しみがより一層わいてきます。フリマサイトで見かける、御朱印帳の転売など論外です。買ったところで、なんのありがたみもありません」

 ルールをしっかり頭に入れたら、あとは好きな神社仏閣を訪れるだけだが、最近は、皇室にゆかりのある神社へ足を運び、「令和元年」の御朱印を集める人も増えている。明治天皇と昭憲皇太后が祀られる明治神宮には、平日の昼間にもかかわらず、50人近い行列ができていた。

「全国にはおよそ8万社の神社があるといわれていますが、“〇〇神宮”と名乗っている神社は、皇室とゆかりのある神社で、歴代の天皇が祀られている神社もあります。さらに、天皇陛下が“勅使”と呼ばれる代理の使者を遣わせるのは、伊勢神宮と16の“勅祭社”だけです。

 これらの神社を、天皇陛下はご自分のためではなく、国民の代表として、“国を安らかにしてほしい”と、神様に拝まれます」

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