国内

オレオレ詐欺被疑者調査から判明、彼らが共犯者になるまで

10代20代が84% ※平成30年1~9月までに神奈川県警察に逮捕されたオレオレ詐欺被疑者96人へのアンケート回答より

 オレオレ詐欺などに代表される“特殊詐欺”にはたいてい、上部組織(暴力団など)が存在する。上部組織の指示のもと、下部の詐欺グループが犯罪を行うのが一般的だ。

 各詐欺グループは主に、銀行や役所の職員を名乗って被害者宅に電話をかける「掛け子」、ATMからお金を引き出す「出し子」、被害者宅に現金などを受け取りに行く「受け子」、共犯者を集める「勧誘役(リクルーター)」などで構成される。

 逮捕されるのは、末端メンバーである出し子や受け子が多いのだが、彼らはどのように詐欺に加担することになるのか。

◆紹介やアルバイトが詐欺の入り口

「よくあるのが、地元の先輩や同級生など、地域的に繋がりがある人物に誘われるパターンです」(弁護士法人シトワイヤン代表弁護士の堀井準さん)

 この6月、明治大学の学生が中学校の同級生を特殊詐欺の受け取り役に勧誘し、逮捕された。神奈川県警察のオレオレ詐欺被疑者96人へのアンケート調査によると、その年代は20代が46%、10代が38%と8割以上が10代~20代の若者である。そして、全体の70%が「地元の友達・先輩」、「学校の同級生」、「職場の同僚・上司」など、顔見知りに勧誘されたという。

「誘う側は、相手との仲を深めたうえで、“いいバイトがある”と誘います。人のいい子ほど断り切れず、軽い気持ちで詐欺グループに巻き込まれてしまいます」(詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリスト・多田文明さん)

 一方、最近増えているのが、インターネットでアルバイトとして募集する方法だ。

「こういったアルバイトは、『高額バイト』などと検索するとヒットするものの、求人情報誌には載っていません。履歴書の提出を求められず、面接もないままメールやSNS上でやり取りをしたうえで“採用”されることが多いんです」(堀井さん)

 つまり、簡単に仕事にありつけるうえ、普通に働くより稼げるというわけだ。オレオレ詐欺逮捕者の犯行動機の80%が「一時的な金稼ぎ」(神奈川県警アンケートより)であることからもわかるように、楽して稼ぎたい人ほど、引っかかりやすい。

「採用されると、足がつきにくい無料の通話アプリなどで指示され、被害者宅や待ち合わせ場所で、キャッシュカードや現金の入った封筒などを受け取ります。その後、指定された送り先に届けるなどして、上部組織にお金が渡るよう手配させられるのです」(堀井さん)

 仕事内容としては宅配のアルバイトのようで、本人も“受け子”とは知らされないため、罪の意識もない。逮捕されて初めて、自分が犯罪の片棒を担がされていたことに気づくケースも多いという。しかし、知らなかったからといって、罪がなくなるわけではない。

「どんなアルバイトだろうが、履歴書の提出もせず、メールのやり取りだけで採用されるはずがありません。そこを変だと思わない世知に疎い若者が狙われるのです」(堀井さん)

※女性セブン2019年7月4日号

特殊詐欺グループの組織図一例

関連記事

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン