同じ降圧剤でも、すべての種類に対して配合剤が開発されているわけではない。
「降圧剤のなかでも、処方されるケースが比較的少ない『β遮断薬』などは、ニーズが少ないので配合剤の開発が進まない。そうした薬が体に合うと判断されて処方されている人は、配合剤の恩恵には与れない。
また、回数を減らすことが難しい薬もある。高脂血症治療薬は、食事で摂取したコレステロールが体内に吸収されるのを妨げるものなので、食後に服用してこそ意味がある。そのため『毎食後、1日3回』という制約を外すことができず、“1日1回に減らせる薬”は出てこない」(長澤氏)
薬を切り替えることにより生じるリスクもある。
「『配合剤』の服用で副作用が出てしまった際には、どの成分が原因なのかの特定が難しいため、結果として元の薬に戻さざるを得ないということが起こり得ます」(同前)
そうしたリスクを理解した上で、実際に薬を減らすには、どのように医師に伝えれば良いのか。瀬戸循環器内科クリニック院長の瀬戸拓氏がアドバイスする。
「主治医に、『配合剤があるようなら替えてもらえないか』『飲む回数が少ない薬にできないか』とストレートに伝えてください。すでに飲んでいる薬で不都合がない場合、医師から薬を切り替えるということはほとんどないため、患者さんから提案してもらうほうがよいと思います」