今回は、モスルから避難してきたキリスト教徒の人たちに集まってもらい、健康づくりの話をした。野菜たっぷりの料理や、塩分や油、砂糖を控えた料理なども食べてもらった。
イラクでは、自分で体重を測る習慣がない。体重計を用意すると、女性も男性も恥ずかしがることなく測定した。驚いたのは、体重90kg、BMIが30以上ある人でも、自分が肥満であることを知らない。
スクワットとかかと落としも、みんなでやってみた。ぼくは日本の講演会でも、会場のみんなでスクワットとかかと落としをやっているが、体を動かしているうちに、笑顔になってくるのはイラクでも同じだった。
先月、ぼくは『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)という本を出した。難民キャンプでも、いや、大きいことを言うなら、世界中のどこでも、スクワットとかかと落としが流行ったらおもしろいと思う。
残念ながら、健康講演会の後、モスルから来た彼らは、激甘の、山盛りのスイーツをおなかいっぱい食べていた。ヘルスプロモーションの道のりは長いが、最初の一歩を踏み出せたことの意味は大きい。
※週刊ポスト2019年6月28日号