国内

ジェ-ン・ス-×中野信子、女を取り巻く社会構造の不都合語る

対談集『女に生まれてモヤってる!』が刊行されたジェーン・スーさん(右)と中野信子さん

 まったく異なる人生を歩んできたコラムニストのジェーン・スーさんと脳科学者の中野信子さんだが、2人とも女として生きることに困難を感じることが多々あったという。そしてそれは彼女たちが接する女性の多くが共通して持っているものだった。仕事、社会からの扱われ方、恋愛、結婚…。「女として生きていると、“モヤる”ことばかり!」と話す2人が、膝を突き合わせて話し合った目からウロコの対談集『女に生まれてモヤってる!』がこのたび刊行された。目に見える損と目に見えない損、生きていく上で必ず直面するあらゆるモヤモヤと、私たち女性はどう対峙すればいいのか。人生は、自分の能力が低いからつらいのではなく、社会のシステムやプログラムが女に不都合だから——これを読めば、これからの人生の攻略法は確実に変わります!

◇「女らしくない」ことに劣等感を抱く必要ナシ!

ジェーン・スー(以下スー):私は「女らしくなれない自分はダメ」だとずっとどこかで思っていたんです。男を支えたり、立てたり、献身的に振る舞ったりとか、そういうサポート役が不得手なのは、自分が悪いんだ、と自罰的に思っていた。

 でも「女らしさ」を前に感情が揺れることって、実は多くの女が経験してきていることでもあると気づいたんです。世間でいうところの「女らしさ」に一度も違和感を抱いたことのない女は、いないんじゃないかと思います。それが私の第一のモヤりポイントでした。

中野信子(以下中野):「女らしい」って、男側から見た時の「お嫁さんにしたい」とほぼ同義ですね。そんな偏りのある規範に、完全に自分を当てはめようとすれば無理が生じて当たり前ですよね。

スー:もちろん誰かの優秀なサポーター役になることに「女の幸せ」を見出す人もいるでしょう。でも一方で、そうじゃない生き方を選んでも人生は楽しめる。女性にはいろんな可能性があるんです。

 最近の雅子さまを見ていると、励まされます。お世継ぎのプレッシャーに加え、ご病気でさまざまなご苦労があったであろう雅子さまが、皇后になられて生き生きとした表情を見せていらっしゃる。ご自身の才能やスキルを生かす場、生きがいを感じられる役割にたどり着けたのではないでしょうか。

中野:中年世代にはまだ「女らしさ」「男らしさ」の呪縛が残っていますが、すでにそこから解放されて自由になっている若い世代が最近は増えてきているなと感じます。私は桑田真澄さんの次男のMattさん(24才)に今注目しています。

スー:彼はりゅうちぇるさん(23才)のような中性的な魅力とはまた違うものを持っていますよね。

中野:Mattさんの目指すところはマチズモ的ではまったくなく、一見女の子が好きなドールのようなスタイルに限りなく寄せていこうとしているのがすごく面白い。ポスト・ヒューマンを感じるし現代アート的でもあります。貫いてほしいし応援したい。

スー:子供の個性を尊重するご家族の理解も素晴らしい。愛情と知性の両方がないとできないことでしょう。

中野:本当にそう。Mattさんのようにまったく新しい価値観を持った人がこれからも大いに出てくる可能性があると思うと、実に楽しみですね。

スー:これまでは女と男は、それぞれ別の箱に押し込められていたように思います。「女/男はこうあるべきだ」という規律、社会通念の箱に。でもそれに疑問を持ち始めた人は、どんどん箱から抜け出している。その動きは、われわれ女性の方が今のところは早いんですよ。男性が気づくのも間もなくだとは思いますが。

中野:男の子でもメイクして、髪を巻いて、スカートをはく時代が来てもいい。一方で「そんなスタイルは許せない」と拒絶したい人は、そう一生を過ごしていくのもいい。頑なな意思や一方的な主張を他者に押し付けさえしなければ、さほどが生じることもないでしょう。

スー:男女とも人生の選択肢はさらに増えていくでしょうね。女たちからやや遅れて、男たちによる「男らしさ」からの解放のムーブメントもやがて到来するはず。それに対する抵抗や軋轢は、男性の方がより強いだろうなぁと私は予想しますけど。

◇女は現在進行形でずっとモヤっている

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン