その後、二週間に一回のペースで「メンテナンス」名目で店舗を訪れていた中沢さんだが、美人カウンセラーから毎度言われたのは「カツラの傷みが激しい」とか「新商品がある」という営業トークばかり。そもそも新商品を買う金もない。だが、相手はプロだった。

「美人のカウンセラーからデートに誘われたり、一緒に歩くのに“カツラだってバレバレだから恥ずかしい”などと言われ始めましてね。今考えれば完全にデート商法だったんですけど、言われるがままに50万円の新商品をまた三つ買ってしまったのです。ローンは、カツラ業者が提携しているというノンバンク系の金融会社が簡単に通してくれました」

 以後、中沢さんが泥沼にはまってしまうことは想像に難くない。デートを経てカツラを売りつけた女性カウンセラーが辞めると、新たなカウンセラーが同じように言い寄ってきては、あの手この手でカツラを買わされた。40代前半で、カツラだけでの借金は500万。サラ金や街金からも相手にされなくなると、カツラ業者から連絡が来ることもなくなった。

「情報が漏れたのか、我が家には一週間で10通以上、育毛剤やカツラのダイレクトメールが届くようになり、悪いことにそこでもインチキな育毛剤を100万分買ってしまったんです。業者から闇金を紹介され購入したのですが、結局それが仇となり妻にバレ“このハゲ!”と言われて離婚です…」

 それなりの収入もあったために、自己破産や債務整理も認められず、いまだにカツラ代を支払っているという中沢さん。スーツにゴルフメーカーのキャップという不思議な出で立ちには違和感を感じざるを得ないいが…。

「格好が多少変でも、ハゲがバレなきゃいいんです。この気持ち、皆さんにはわからないんですよ。私は騙されましたが、今に本当に効果がある薬剤が開発されるかもしれない。育毛剤は、今でもたくさん試している。いわば鉱脈探し、宝探しのような。人生のテーマなんです」

 600万あった残務も、もうほとんど返し終えた中沢さん。新たなハイエナたちが、中沢さんに襲い掛かることがなければ良いが…。

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン