◆大学生も困惑

 さらにスマホ決済の利用動向を探ろうと、私は6月上旬、スマホの利用時間が多い大学生100人(3年生・4年生)にアンケート調査を実施しました。その結果、なんらかのスマホ決済を利用しているのは25%、4人に1人とやはり思ったより少ないことが判明しました。

 一方で、交通系ICカードを利用している(重複も含む)学生は95%と高い割合になりました。まったく使っていない学生は5%。10%の学生はクレジットカードを利用していました。

 学生たちに意見を聞いたところ、「チャージ式の交通系ICカードの方が安心できる」、「セキュリティ面が不安だ」と言う意見が多く、特に「たくさんありすぎて、どれがトクなのか分からない」と言った意見も多く出されました。

 また、「スマホ内にアプリがいっぱいで、これ以上入れたくない」と、初めから使用する気のない学生たちもいました。学生たちのスマホには、音楽や画像、動画、ポイントカードなどのアプリがたくさん入っています。

「飲食店でも、家電量販店でも、なんでもアプリをダウンロードしないと特典をもらえない店ばかりで面倒くさい」と話す学生も。さまざまな企業がそれぞれにアプリを提供しているために、利用者側はキャッシュレスの利便性以前に疲れてしまっているようです。

 実際に支払いをしようとしてレジに並んでみると、キャッシュレス用のアプリを立ち上げ、さらにポイント用のアプリも立ち上げて──と準備をしなくてはいけないし、店舗によっては電波状態が悪くて反応が遅い場合もあります。1回使ってみて、こうした手間がかかることにがっかりしてしまったという学生もいました。

◆政府の思惑通り消費税率上昇で一気に普及するか

 政府は、キャッシレス化を2025年に40%、さらに将来的には80%まで引き上げると表明しています。経済産業省はキャッシュレス決済ができる店を検索したり、どの支払い方法がトクかの情報を知ることができるサイトなども公開しています。

 今年の10月には消費税が8%から10%に引き上げられる予定です。それに併せて、10月から9か月間、政府はキャッシュレス決済を利用した消費者に対し、購入額の5%もしくは2%分をポイントやキャッシュバックで還元する施策を決めています。これによって中高齢者の使用も増加するのではという期待も高いようです。

スマホ決済を体験する石田真敏総務相(左/時事通信フォト)

スマホ決済を体験する石田真敏総務相(左/時事通信フォト)

 一方、商業者側からすると従来のクレジットカードと比較すると手数料が安く、さらに口座への振り込みが翌日から2日間と短いことなどから、キャッシュレス決済の導入を歓迎する経営者も多いのです。

 しかし、流通業の関係者は「どれを使ってよいのか分からない競合状態と、アプリの使い勝手、それからセキュリティなどへの不安が解消されないと、巨額の還元キャンペーン狙いだけで、一気に熱が冷める可能性もある」と危惧しています。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン