このことは、廊下や階段などの共用部も同じです。経年によって徐々に劣化していくのは建物の宿命ですが、一定の幅や深さがあるひび割れや、一定量以上の白いカルシウム成分が浮き出てくる白華現象、コンクリート内部の鉄筋が水に触れたことで錆び汁がしみだしている現象などを長らく放置しておくと、それは建物内部を傷め、時間の経過ほど修繕コストは膨大になるうえ、着実に寿命を縮めていくことになります。
エントランスまわりの清掃状態やポストまわりの整理整頓具合はどうでしょうか。こうしたところが雑然としているのは、管理員の仕事が行き届いていないからですが、背後にはそれを容認している管理組合の存在があります。マンション管理についてその程度の無関心さだというわけです。
駐車場や駐輪場、ごみ置き場などの状態にも同じことが言えます。掲示板に数か月も前の古い情報が貼られている、雑然と貼られている、貼ったものが破れている──なども組合運営の質を推し量れます。
筆者が創業したさくら事務所では、管理良好マンションが見つかる「BORDER5」 (https://www.border5.com/ )といったサイト運営をスタートしました。
まだオープンしたばかりで登録数は少ないものの、現在掲載されている「白金タワー」「イニシア千住曙町」「ニューロシティー」「パークシティー武蔵小杉ミッドスカイタワー」「パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」などはウェブ上で積極的に情報を提供しており、マンション管理の優等生といえます。
●ながしま・おさむ/不動産コンサルタント。株式会社さくら事務所代表取締役会長。1967年生まれ。広告代理店や不動産デベロッパーの支店長などを経て、個人向け不動産コンサルティングを行うさくら事務所を設立。『不動産格差』、『「空き家」が蝕む日本』、『失敗しないマンション選び』、『100年マンション』など著書多数。7月27日に東京・中央区にて長嶋氏による自宅売却セミナー(参加費無料)を開催予定。