北京から行けるのは劉備・関羽・張飛が世直しに生涯を捧げるべく、義兄弟の契りを結んだタク州(河北省保定市)で、ここには3人が同じ日、同じ場所で死ぬことを誓い合った「桃園の誓い」を記念した三義宮をはじめ、劉備故里、張飛の井戸(張飛古井)、張飛を祀った張桓侯廟、劉備の学問の師であった盧植の墓などが点在している。
北京市の中心部からタク州市までは直線距離にして約70キロ。路線バスでも行けるが、高速列車を使えば北京西駅からタク州東駅まで30分弱。駅からタクシーをチャーターしてまわればよい。もちろん北京からチャーター車という手もあるが、現地に不案内なドライバーの場合、カーナビに出てこないところは土地の人に何度も尋ねながら行くことになるので、時間ロスの大きさを覚悟しなければならない。
どういう交通手段を利用するにしても、初日は北京に泊まるだけ。2日目に朝早くから行動を始めれば、夕方の便での帰国が可能である。
◆南京、杭州編
一方、中国東南部・江蘇省の南京にあるのは、呉の最後の宮城であった石頭城と孫権の墓および呉大帝孫権記念館で、後二者は隣接している。半日あれば路線バスでもまわれるが、初心者に中国のバスはハードルが高いので、タクシーをチャーターするのが無難だろう。
江蘇省の南にあるのが浙江省で、そこの省都が杭州である。ここからは孫権故里と諸葛孔明の子孫が集団で住む諸葛八卦村へ行くことができる。孫権故里と称している場所は杭州市の南西に位置する富陽市に2か所あって、一つは龍門鎮、もう一つは場口鎮という村である。前者が清代の街並みを残す古鎮として村全体がテーマパーク化しているのに対し、後者には「呉大帝故里」と刻まれた石碑が建つのみだが、実際の孫氏一族の出身地は後者とする説が有力である。
残る諸葛八卦村だが、これは諸葛孔明の孫・諸葛京の子孫が南北朝時代に赴任を命ぜられたことに由来し、住民全員が諸葛姓の村で、清代の街並みも残るなど、非常に風情あるところである。タクシーをチャーターして2日に分けてまわってもよいし、2日目にまとめてまわっても、夜の便で帰国することができる。