貴景勝の父・一哉氏と母・純子氏
同誌によれば当日、警備会社のチェックのなか集計された祝儀は計約4200万円で、ホテルの会場代約1443万円がその場で支払われ、残りの「約2700万円」を一哉氏が持ち帰り、パーティの諸経費を支払った。千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)には300万円の謝礼が支払われたという。協会関係者はこういう。
「この騒動は、お金を巡る角界の慣習と一般社会の常識が大きく食い違っていることが、表面化したものだといえるのではないか」
◆親方の取り分はノータックス?
昇進パーティや結婚式などイベントごとは部屋にとって臨時収入で、親方夫妻が親代わり、実の両親はゲスト扱いになり、祝儀の約6割を親方が持っていくことが多いと言われる。さらに、それら祝儀を“どんぶり勘定”にして「どれだけカネが集まったか」「そのうちのいくらを誰が持って行ったのか」といったことを不透明にする──それは即ち、税逃れにもつながっていく。元力士はこういう。
「引退相撲はケースバイケースで、“あがり”は第二の人生のスタート資金としてすべて引退力士に渡す親方もいるが、ひどい親方はそれも6割を持っていく。引退相撲は公にチケットを売るから税務署もその収入がきちんと申告されるかに目を光らせているが、親方が抜いた分はノータックスにして税金はすべて引退力士が納めるというケースもあった」(同前)
こうした角界のカネを巡る旧態依然とした慣習は、税務当局から何度も摘発の対象となってきた。
2004年、祝儀の取り分を巡って高砂親方(元大関・朝潮)との騒動が起きた朝青龍の結婚披露宴はテレビ中継されたが、2007年にその際の番組出演料など1億円を税務申告していなかったことが発覚。約3000万円を追徴課税されている。他にも、週刊ポストのスクープがきっかけで陸奥親方(元大関・霧島)が年寄株取得のために後援会から提供された資金や引退相撲の祝儀など、5年間で2億2000万円の申告漏れを指摘されたこともある(1999年)。