昇進パーティの様子
「角界には“ごっつぁん”という感謝を表わす言葉があるが、一般的な社会常識とはかけ離れた経理のずさんさを象徴する言葉になってしまっている」
そう語るのは、『大相撲の経済学』の著者で、相撲協会の公益財団法人化に向けた改革策をまとめる「ガバナンスの整備に関する独立委員会」の副座長を務めた慶応大学商学部の中島隆信教授だ。
「国税や管轄の税務署は、今回の貴景勝の昇進パーティのような例もきちんと注視しています。親方であれ力士であれ、祝儀を受け取ったことがわかれば、それが収入として申告されているか調べることになる。だからこそ、収支はガラス張りにすべきだが、なかなかそうならない。
親方の権限が非常に強い世界なので、親方が“角界の慣習だ”といえばそれが通ってしまう。協会の幹部が部屋の親方を兼ねているから、力士より親方の都合を優先する組織になっている。そうした旧態依然の体質を変えるため、『ガバナンスの整備に関する独立委員会』として様々な提言をしたが、力不足で変革に至らなかった」
◆「親代わり」か「実の親」か
結局、角界の慣習を知らない貴景勝の父・一哉氏が一般社会の常識で集めた祝儀を管理・カウントし、分け方を決めた結果、期せずして角界の暗部に踏み込んでしまったということなのか。一哉氏は週刊ポストの直撃に対しこう答える。