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京アニ放火犯、現場で近隣の呼び鈴鳴らし助けを求めていた

火災は30人以上の命を奪った

火災は30人以上の命を一瞬のうちに奪った(写真/共同通信社)

 よれよれの赤いTシャツを着た巨漢は、脇目も振らずに台車を押していた。ガソリンスタンドに着くと、20リットル入る携行缶2つにガソリンを入れようとする。従業員が「何に使うんですか」と尋ねると、男は面倒くさそうに「発電機に使う」とだけ答え、現金で料金を支払うと、重くなった台車を押して出ていった。

 京都アニメーション(通称・京アニ)第1スタジオは、そのガソリンスタンドから500mほどの距離にある。すぐ側までやってくると、男は携行缶の中身をプラスチック製のバケツに移し始めた。

 その前日の7月17日夕方、現場に近い京阪電鉄宇治線沿いの公園で、男は少年に目撃されていた。

「友達と遊ぶ約束をしていて、午後4時頃に公園に行ったら、ベンチの上に寝そべっているおじさんがいました。赤い服にジーパンで、その人の横には台車がありました。上に置いてあったものには、カタカナで“ガソリン”って書いてありました」(目撃した9才の少年)

 この公園は道路の高架下にあり、雨を避けられる。

「男は15日に京都に入り、現場を下見していた。インターネットカフェや公園で寝泊まりし、決行日を待っていたとみられます」(捜査関係者)

 用意は周到だった。

「ガソリンだけでなく、1mほどの巨大ハンマー、4~5本の包丁も持っていました。絶対に実行するという強烈な殺意を保っていたのでしょう」(前出・捜査関係者)

 ガソリンスタンドを出てから30分後の午前10時半頃、男はガソリンの入ったバケツを提げて、京アニの第1スタジオに入り込んだ。

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