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疲弊しないPTAの改革成功例、運営者公募やOB・OG活用も

「役員決め」は入学式が終わった後、そのまま行われることも少なくない(写真/PIXTA)

 教師の労働時間削減のための対策について、タレントの若槻千夏(35才)が批判的な意見をしたことが大きな問題になっている。教師不足の現状に、出演したテレビ番組で「金八先生見たでしょ? ビジネス化しちゃダメでしょ、そこは」と語ったところ、教師の過重労働を理解していない、と批判されたのだ。そんな中、PTA(Parent-Teacher Association)とは、本来「親と先生」の組織であるが、「親のせい」「先生のせい」という意識が強くなっているのも、PTAがうまく機能していない証拠ではないだろうか。

 親と先生が疲弊せず、「子供たちのため」にできるPTAのあるべき姿とは──。改革に成功した学校の例を見てみよう。

 東京都大田区の区立嶺町小学校は2014年度からPTAの全活動を「手上げ方式」と呼ばれる完全ボランティア制に変更し、PTAという名称をやめて「PTO」(OはOrganization“団体”の意味)と呼ぶことにした。Aは「組織」を意味する。

 埼玉県草加市ではPTAの代わりに地域住民と学校、保護者で作る会費ゼロの「学校応援団」を設置する活動が進んでいる。そんななか、2017年度にPTA改革に踏み切ったのが福岡県北九州市門司区の区立柳西中学校だ。

 当時、PTA会長として改革に挑んだ吉村利啓さん(46才)は、次男の中学校入学式後の光景が忘れられないと語る。

「入学式が終わり、生徒たちが教室へ戻っていくと、体育館の扉が閉められ、PTA委員会の選出が始まった。1時間経っても決まらず、泣き出す保護者までいた。“ここまでしてやらなければならないPTAってなんだろう”と驚き、無理をせず、やりたい人がやれるPTAにしようと決意しました」(吉村さん)

 翌年、PTA会長になった吉村さんは、「できる人が、できる時に、できることを、そして無理しない」をスローガンに掲げ、ほかの役員や学校、地域の協力のもと会則も全面改正するといった改革を推進。役員決めを撤廃し、1年限定でPTAを運営する「ワンイヤー・ボランティア」を公募した。初年度に集まったボランティアは25人と、前年度の役員から減少したが、その人数でできる活動に絞った。

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