八戸学院光星(青森)の遊撃手「武岡龍世(りゅうせい)」は、いまや球界を代表するショートとなった同校OBの坂本勇人(現巨人)を彷彿とさせる動きから、「坂本2世」と呼ばれる。ちなみに1番2番でコンビを組むのは「島袋翔斗(しょうと)」。こちらは沖縄出身で、50メートル5秒9の俊足が持ち味。武岡の活躍に隠れがちだが、“センターのしょうと”も注目だ。
日本文理(新潟)には「脅威の9番打者」がいる。「小林未来雄(らいお)」は上位に繋ぐチャンスメイクだけでなく、チーム3位タイの打点を挙げる勝負強さも兼ね備える。新潟県勢初の全国制覇を狙う同校のキーマンだ。
今夏は公立校の“復権”にも注目が集まる。昨年は8校だったが、今年は14校。15年ぶりの広島商、23年ぶりの高松商などが夏の甲子園出場を決め、オールドファンを喜ばせた。そうした古豪の一つ、熊本工(6年ぶり21度目)にはエースの「林彪太郎(こたろう)」や、外野と投手をこなす二刀流の「江川輝琉亜(きるあ)」がいる。
こうした選手たちを取材するメディアにも苦労があるようだ。
「親御さんが考え抜いて付けた名前を間違えるわけにはいきません。ただ、注目選手はともかく、ベンチ入り全員を覚えるのは無理。試合前に記者席に掲示されるスタメン表を見て、スコアブックにふりがなを書き込んでいます。紙媒体ならそれで対応できますが、テレビのアナウンサーなどはもっと大変でしょうね」(スポーツ紙記者)
思い返せば、昨年の覇者・大阪桐蔭にも根尾昂(あきら、現中日)、藤原恭大(きょうた、現ロッテ)、横川凱(かい、現巨人)などの“難読名”が並んでいたが、甲子園での活躍とともに、多くの野球ファンが彼らの名前を覚えていった。この夏、「その名」を多くのファンの脳裏に刻むのは誰だろうか。