「昔は『契約期間中に子供を産んではいけない』や『恋人発覚報道はダメ』『結婚してはダメ』などを想起させることも契約条項に盛り込んでいました。しかし、契約が人権を上回るという時代ではありません。今回の滝川さんの件は、結婚、出産ともに慶事です。スポンサー企業だからといってそれを基に賠償請求などしたら大バッシングに遭うことは目に見えています。『奴隷契約』なんて言われ方もされかねないでしょう。
キリンの対応は、『妊婦がお酒を飲んでいる』というイメージが広がることは得策ではないという判断からでしょう。妥当な対応だと思います。今後も同様のことが発生した場合、どの企業も『スポンサーとして祝福する』という姿勢を取ることになるはずです。ただし『借り』を作った、ということで今後事務所が何らかの“サービス”的なことをする可能性はあります」
とはいっても、今回の件はスポンサーとしてはいくら慶事であろうとも、滝川の起用を提案してきた広告会社に対し、調査能力の甘さを指摘したくもなるだろう。一方、広告会社としては「そこまで分かるわけない」とも言いたくなる。
こうした想定外の騒動が発生した時、はたしてスポンサーと広告会社、芸能事務所はどのように対応をするのか。基本的にはまず事務所が広告会社に報告し、広告会社とスポンサーが協議する。事務所がその協議に入ることもある。
以前、とある大女優・Aの妊娠が突如事務所からマスコミに発表された時、関係者は大慌てだった。事務所は事前に広告会社にその事実を伝えていたが、対応会議は長時間にわたったという。AはとあるCMで、夫に尽くす妻の役を演じていた。起用の段階では結婚していなかったことで、突然の妊娠により「ふしだら」といったイメージがつくのでは、という懸念が生じたのだ。また、その時点では、お相手の男性の身元がよく分からなかったことも懸念材料だった。