ビジネス

吉本興業の契約問題 サラリーマンも対岸の火事ではない理由

「経営アドバイザリー委員会」の座長を務めた川上和久・国際医療福祉大教授(時事通信フォト)

「経営アドバイザリー委員会」の座長を務めた川上和久・国際医療福祉大教授(時事通信フォト)

 反社会的勢力との“闇営業”から端を発し、所属芸人の契約やギャラ配分など労働問題にまで問題が発展している吉本興業。8月8日に開かれた「経営アドバイザリー委員会」では、従来のマネジメント契約に加えて、タレント自らがマネジメントを行う「専属エージェント契約」の導入も発表された。「今回の吉本騒動は普通のサラリーマンにとっても対岸の火事ではない」と指摘するのは、働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏だ。

 * * *
 日本を代表するお笑い芸人が多数所属する吉本興業。人気お笑いコンビ、雨上がり決死隊の宮迫博之さんをはじめ11人が処分を受けた騒動は、日本中の注目を浴びている。

 当初は反社会勢力との契約が問題視されていたが、報道でこの話題が連日のように取り上げられる中で、吉本興業自体の変革の必要性が指摘されるようになった。その後、第三者による経営アドバイザリー委員会が立ち上がるなど、展開は目まぐるしい。

 小さいころから吉本所属の芸人さんたちにたくさん笑わせてもらってきた者としては、とても残念な思いをしている。一ファンとしては、芸人さんたちが本気で泣いたり困ったりしている姿を見たくないという気持ちがある。

 一方で、個人としての感情は一旦横に置き、雇用や働き方というテーマを専門に仕事をしてきた者として一連の騒動を捉えなおしてみると、普通のサラリーマンにとって、今回の騒動から学べることは多いのではないかと感じている。

 なぜなら、普通のサラリーマンが副業を希望したり、実際に本業とは別の2枚目3枚目の名刺を持って活動するケースが増えてきているからだ。本業ではサラリーマンであっても、副業では吉本の芸人さんと同じく、個人業務委託契約になることが多い。

 しゅふJOB総研が、仕事と家庭を両立したいと考える“働く主婦層”へのアンケートで「いまのあなたにとって最も望ましいと思う働き方をお教えください」と尋ねたところ、個人業務委託での働き方を望む人はわずか4.8%だった(有効回答数=733)。大半が主たる家計の担い手ではない主婦層でさえ、雇用されることを望む傾向にある。

家計の担い手でない主婦層も会社との雇用契約を望んでいる

家計の担い手でない主婦層も会社との雇用契約を望んでいる

 雇用であれば、職場に出向きさえすれば常に仕事が用意されている。しかし、個人業務委託だと自らの手で仕事を見つけてこなくてはならない。何もしなくてもオファーが殺到するのは、よほど時代のニーズにマッチした特別な技能を持つ人だけだ。

 お笑い芸人にとって、仕事をとってきてくれる吉本興業の存在がいかに大きいか。そう考えると、オファーが殺到する人気芸人たちの凄さが改めてよくわかる。

関連記事

トピックス

愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
羽生結弦が主催するアイスショーで、関係者たちの間では重苦しい雰囲気が…(写真/AFLO)
《羽生結弦の被災地公演でパワハラ告発騒動》アイスショー実現に一役買った“恩人”のハラスメント事案を関係者が告白「スタッフへの強い当たりが目に余る」
女性セブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
『ここがヘンだよ日本人』などのバラエティ番組で活躍していたゾマホンさん(共同通信)
《10人の子の父親だったゾマホン》18歳年下のベナン人と結婚して13年…明かした家族と離れ離れの生活 「身体はベナン人だけど、心はすっかり日本人ね」
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン