神奈川県小田原市に新設されたアマゾンジャパンの物流拠点(共同通信社)

 書籍では、アマゾンがほとんどだれにも気づかれず急成長をつづけているのに加え、その労働現場にはアマゾン社員を頂点とした“カースト制度”にも似た階級づけがあることも指摘した。アマゾン社員の次には現場を仕切る日本通運、そして最下層には時給900円で働くアルバイト。ルポライターの鎌田慧が1970年代、期間工としてトヨタ自動車に潜入して書いた『自動車絶望工場』と比べ、私はアマゾンとの違いについてこう書いた。

「トヨタの工場が『絶望工場』たりえたのは、当時はまだそこに“希望”があったからにほかならない。おそらくそれは、工員でもいいから大企業の社員となれば一生家族を養っていくことができる、という希望だろう。アマゾンのような職場にはそんな希望さえ求めることは難しい。この“希望”の有無こそが、トヨタとアマゾンを隔てる決定的な違いである」

 15年ぶりの再潜入は、アマゾンの物流センターには未だに希望がないことを、この目で確認するために行なった。その当時、アマゾンが日本国内に持つ物流センターは市川塩浜の1か所だけだった。2階建てで、延べ床面積は約1万6000平方メートル。それに比べ、今回潜入した小田原の物流センターは、2013年稼働で、5階建てで延べ床面積は約20万平方メートル。1階ごとの床面積では市川塩浜が8000平方メートルに対して、小田原は4万平方メートル。実に5倍である。加えて、小田原以外にも10か所以上の物流センターが日本中で稼働している。現在、すべてのアマゾンの物流センターの延べ床面積を合計すると、70万平方メートルを超え、日本での立ち上げ時期と比べ、50倍以上の面積となっている。私が潜入した当時、同社がここまで成長するとは、だれも想像しえなかっただろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン