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2019.08.20 11:00  週刊ポスト

アマゾン物流センターにジャーナリストが15年ぶりに再潜入

 次の場所までの距離によって、「20秒」「45秒」「1分30秒」など様々な数字が表示される。15年前のピッキングの目標は、「1分で3冊」(当時は書籍しかなかったため)という大雑把なものだったが、今は移動距離が反映されている分、より正確になったともいえる。しかし、アルバイトの視点からすると、見張られる精度が、秒単位になったという窮屈な気持ちになる。毎回のピッキングのたび、早く作業をしろ、と尻を叩かれている感じだ。しかし、その時間内に次の商品をピッキングすることはほとんど不可能に思えるほど、その設定時間は短い。

 次に出てきた商品は、「P-4 A251 D185 キャリアウーマン ブルゾンちえみ おかっぱ かつら ブラウス スカート メイク シール ネタ帳付き 5点セット コスプレ用 小物 男女共用」──これは、10月末のハロウィンのための仮装パーティー用であろう。

 トートが満杯になれば、《F(Finishの意味)》を押してから、《Enter》ボタンを押した後、ベルトコンベヤーに流し、新しいトートをスキャンする。11時45分から12時30分までのお昼休憩を挟んで、午前中と同じ単純作業の繰り返しである。

◆1日2万5306歩=20.24km

 午前中の作業が終わっただけで、すでに私の足は重く感じていた。ピッキングのとき、カートを押して歩いているというより、カートに体重を預けながら、カートに引きずられるように両足を前後に動かしている感じだ。

 このアルバイトでどれだけ歩いたのかを正確に計るため、アマゾンで万歩計付きの時計を買っていた。その万歩計で計ると、午前10時台の休憩までに6256歩で、5.00キロを歩いた。昼食の休憩までには1万593歩で、8.47キロ。このあたりから、ふくらはぎが痛くなってきた。この日、午後5時に上がった時の歩数は2万5306歩で、距離は20.24キロだった。アルバイトをはじめるまでの10日間ほど、毎日数キロ歩いて、足慣らしをしていたつもりだったが、ピッキング作業をしながらの20キロはさすがに堪えた。息も絶え絶えである。

 最初の潜入取材でも、おそらく同じぐらいの距離を歩いたのだろう。しかし、当時は30代だった私も、今では50代。年老いたというほどではないが、もう肉体労働の現場に潜入するほど若くはないのかもしれない、と痛感した。消費者がアマゾンで注文した商品を翌日に受け取ることができるのは、こうした現場の厳しいノルマと密接に関係している。

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