「立派な賞をもらったけれど、まだまだ子供です(笑い)。昔は嫁の手料理を肴に晩酌をしながら、その日の出来事を聞いてもらうのが楽しみでした。今は夫婦で、子供の話を毎晩聞いていているのですが、途中から自分も話したくなってくる。『次はお父さんの番だ!』って、嫁に話を聞いてもらう権利を息子と奪い合っています(笑い)」
子育てに関しては手探り状態だが、ただひとつ、父親として子供に胸を張って言えることがあるという。
「世の中、理不尽が当たり前だけど、それほど捨てたものじゃない。僕みたいな男でも、努力すればたくさんの人に助けてもらって、役者になることができましたから」
影響を受けたのは松田優作と武田鉄矢と語る
●さとう・じろう/1969年、愛知県春日井市出身。1996年、演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げ。全公演で作・出演を務める。『ブラック・ジャックII』(2000年)でドラマに初出演し、映画『幼獣マメシバ』(2009年)で初主演を果たす。数々の映画、ドラマで活躍する一方、『ケータイ刑事 銭形シリーズ』などで脚本を手がけ、2008年には映画『memo』で監督・脚本も務めた。8月9日公開の映画『ライオン・キング』ではプンバァの吹き替えを担当。
■撮影/内海裕之、取材・文/戸田梨恵
※週刊ポスト2019年8月30日号