国際情報

日韓問題の行方左右する「プライミング効果」を心理士が分析

プライミング効果で反日感情はさらに加熱(Sipa USA/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、いまだ収まる気配のない日韓問題を分析。

 * * *
 そろそろ韓国関連の報道も下火になるだろうと思っていたが、週が明けても、ほとんどのテレビが文在寅(ムン・ジェイン)政権の話題で盛り上がっている。といっても、連日のように報じられていた反日強硬姿勢は影を潜め、今週はもっぱら文大統領の最側近、民情首席補佐官を務めていた曺国(チョ・グク)氏をめぐる一連の不正疑惑が中心だ。

 つい最近まで、テレビは韓国内の反日運動ばかりを報じていた。韓国国民を対象とした世論調査によると、「日本製品の不買運動に参加している」は48%、「今年は日本に旅行しない」は81.1%、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄では、54.9%が「適切」と答えたという。これらの結果をみると、「反日感情が極端だ」という印象しか受けない。世論調査の動向は数字でしかなく、背後に隠れているものは見えてこないが、数字が人々に与えるインパクトは大きい。

 まして、反日運動の映像が連日テレビで流れていたのだから、「韓国内がすごいことになっている!」と日本国民が思うのも無理はない。そうしたメディアの報道から「プライミング効果」が起きたのだ。プライミング効果とは、事前に見聞きした情報によって、物事を思い出しやすくなったり、その後の判断や行動が影響を受けたりすることを言う。報道量が多くなればなるほど、プライミング効果により我々の感情は刺激される。

 8月30日から韓国で開催されている野球のU-18ワールドカップに出場する日本代表が、日の丸なしのシャツを着て韓国入りするという異例の事態になったのも、この効果の影響を受けたのだろう。

 韓国内でも、50%台を推移していた文政権の支持率が「2週連続で低下した」と報じられると、野党がGSOMIA破棄に反対の意見を表明し、反文政権や文大統領の退陣を求めるデモの報道が多くなるなど、プライミング効果にさらに影響を与えていく。

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