航樹が会社を辞めるのも生き方の問題で、何か夢があって、自分が何者になりたいかを問う人間であれば、たとえ世間的には恵まれた環境でも留まることはできないと思う。そして会社や職業を超えたその人なりの生き方を、僕は本書に限らず書いていきたいんです」

 かつて太宰が通ったバー「ルパン」を始め、銀座もまた過去の集積の上にあり、航樹が紙を求めて街を奔走したのも今や昔。そうやって過ぎ行く中にも、人々が衝突を恐れず成長しあった日々は確かに存在し、誰の目にも眩しく映るに違いない。

【プロフィール】はらだ・みずき/1964年千葉県生まれ。銀座の紙卸商社や出版社勤務を経て、2006年『サッカーボーイズ 再会のグラウンド』でデビュー。同作はシリーズ化され、累計60万部を突破。『スパイクを買いに』『帰宅部ボーイズ』『あの人が同窓会に来ない理由』等の他、文庫『海が見える家』も話題に。「僕も航樹同様、バー『ルパン』には畏れ多くて入れなかったクチで、初めて行ったのは4年前かな。銀座は三州屋とか庶民の店もあるし、そっち専門で(笑い)」。171cm、72kg、O型。

構成/橋本紀子 撮影/黒石あみ

※週刊ポスト2019年9月13日号

銀座の紙ひこうき (単行本)

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