この10年間で大幅に規模を拡大した低価格ブランドの筆頭はジーユーです。2009年8月期に515億円だった売上高は2019年8月期には2200億円を突破する見込みで、じつに4倍にも成長しています。
このほか、タイムセールの連発で名を馳せた低価格ブランド「アースミュージック&エコロジー」を擁するストライプインターナショナルは900億円規模にまで成長していますし、ハニーズは500億円前後の売上高で踏みとどまっています。また中高生向けの低価格ブランドといわれるウィゴーも約370億円に拡大しています。ユナイテッドアローズグループの低価格ブランド「コーエン」も2019年3月期には135億円まで成長しました。これらの国内低価格ブランドの成長が海外低価格ブランドからある程度の客を奪っていると考えられます。
そうした傾向が強まってくると、ベーシック衣料や肌着などの実需品も揃うユニクロ、しまむら、ジーユーとは異なり、ファッション衣料としてのみ認知されがちなZARAやH&Mなどはその需要の裾野は元から狭かったと言わねばなりません。国内では今の500億~700億円規模が限界点で、1000億円を越える成長は難しいのではないかと私は見ています。
いずれにせよ、フォーエバー21の経営危機程度で低価格ゾーンの衣料品需要は減りませんし、新しいブランドは今後も次々と登場してくるはずです。そして、国内外を問わず優勝劣敗が鮮明になれば、いつ有名ブランドが退場してもおかしくない市場といえるでしょう。