ライフ

江戸時代初期の「猫放し飼い令」がもたらした意外な問題とは

猫が自由を手に入れると…

 現在では、犬も猫も室内飼育が推奨されているが、江戸時代初期の京都では「猫放し飼い令」が発布されており、猫は屋外での放し飼いが推奨されていた。すると、意外な問題が…。公家が残した日記を基に、江戸時代の猫の生活をひもとく。

 大陸からネズミを捕るために日本にもたらされた猫は、奈良時代以降にペット化し、首輪やひもでつながれて室内で飼われるのが一般的になった。

 しかし1600年代に入ると、京都の人口が増え、ネズミの被害が深刻化。慶長7(1602)年、京都所司代(京都に設置された幕府の行政機関)は徳川家康の命により“猫放し飼い令”を発布し、猫に“ネズミ捕りパトロール”をさせることにしたと、公家(朝廷に仕える貴族・上級官人の総称)・西洞院時慶の日記『時慶記』に記されている。

 西洞院時慶は天文21(1552)年に生まれ、寛永16(1639)年没。当時としては珍しく88才の長寿を全うした。半家という公家社会でも下位の家柄だったが、歌人や医師という顔を持ち、交流関係が広かった。『時慶記』は歴史的価値の高い史料で、ひな祭りや阿国歌舞伎について書かれた最古記録書ともされている。

「時慶の日記には、宮廷での出来事をはじめ、諸大名の動向や自然災害の記録など多岐にわたる内容が記されています。なかでも猫についての記述が多いのが特徴です」と話すのは、歴史作家の桐野作人さんだ。

 時慶の日記に初めて猫が登場するのは、天正15(1587)年4月のこと。

《猫の子を御いま(時慶の母の侍女)からもらった》

 と記述がある。その4年後にさらにもう1匹の猫を迎えており、時慶は猫との暮らしを楽しんでいたことがわかる。また、こんなことも明らかに。時慶は身分が低かったが、娘が天皇の側室だったため、御陽成天皇から唐猫(中国など舶来の猫)を拝領していた。常に数匹の愛猫と暮らしていたが、何度も行方不明になったため、頭を悩ませていたようだ。

◆迷い猫は隣人同士で保護。帰らぬ猫には祈祷まで…

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン