関東勢で特に目を引く展示をしていたのは、芝浦工業大学(以下、芝浦工大)である。芝浦工大は、学園祭にて運用する、鉄道模型ジオラマでの模型運転体験の「整理券発券システム」を展示していた。もとは手作業で予約を処理し、整理券を発券していたが、来場者数が増加するにつれ、処理が追い付かなくなってしまったという。また、学園祭では鉄道研究会の会場に子供を置いて行ってしまう保護者が少なくなく、会場の整理も課題になっていたとのことだ。
そこで芝浦工大は、交通系ICカードを使った管理システムを開発した。ICカードを用いて手続きをし、順番が来たらTwitterや教室内の自動放送にて呼び出されるシステムになっている。これにより、手作業だった運転体験の予約管理が自動化され、運営における労力の削減が図られた。また、小さな子供の保護者のICカードを使わせることにより、保護者を会場にとどまらせて、子供が会場内に野放しになる状況を解消させることにも成功したという。
以上の団体は毎年参加している団体であるが、今年は初参加ながらハイレベルな展示を行った団体があった。富山県の富山大学(以下、富山大)である。富山大は、地元富山の鉄道の写真や映像、またかつて富山県内を走っていた急行「ゆのくに」「立山」の編成を再現した模型など、地元愛が色濃く出た展示を楽しめた。
「オープンデー」の展示では、各団体の構成員の守備範囲を垣間見ることができた。展示から話が弾むこともあり、また学ぶことも多々あった。
◆オープンデーの目玉企画「てっけん大学」
「オープンデー」に行われるのは各団体の展示企画だけではない。「てっけん大学」という、講義形式の企画がある。
「てっけん大学」は、参加大学の中から登壇者を募り、それぞれに「守備範囲」とする分野についての「講義」を行わせるというものである。今年は4名の登壇者がいた。
当会からも、台車を守備範囲とする会員が登壇し、「日本のブリル台車」についての講義を行った。ちなみに「ブリル台車」とは、19世紀後半から第二次世界大戦中までアメリカに存在した台車メーカー「ブリル社」により製造された台車のことである。
展示企画だけでは伝わってこない、各団体の構成員の守備範囲やその深さを知ることができるのが、「てっけん大学」である。筆者自身、「ブリル台車」の名前は聞いたことがあったが、それが何たるものかということまでは知らなかった。