『時空警察はじめました』に主演するオダギリジョー

 自分のオーディオルームで指揮棒を振りながら、クラシックを聴くのが大好きな桑野は、ひとり焼き肉、ひとり花火鑑賞など独身生活を満喫していた。53歳となった新シリーズでも、性格や趣味はそのまま。今度は女性弁護士吉山(吉田羊)やカフェの店長・岡野(稲森いずみ)と関るものの、「へっ」は相変わらずだ。

 一方、『時効警察』の霧山(オダギリ)も、アメリカから総武署の時効管理課に戻り、前作同様「趣味で時効になった事件の真相を探る」活動を再開。趣味につきあう三日(麻生久美子)も離婚を経て、再び、霧山の存在を露骨に気にしている。新作ではさっそく新興宗教教祖(小雪)が関係した、同時に起きたふたつの密室不審死事件が浮上するも、トレンチコートを着た刑事集団が「ハンニンタイホー、オー!」と声を出しながらランニングしたり、脱力系ギャグ連発でなかなか推理が進まない。これもこのドラマの名物なのだ。

 十年以上の時を経て、同じ主人公が、再び新作の連続ドラマになる。こういう例は珍しい。それを可能にしたのは、やはり主人公のキャラクター設定がうまかったからだ。阿部は年相応に老けたが、オダギリはふわふわ頭といい、黒ぶち眼鏡の顔といい、ほとんど前作から変化なし。マンガのキャラクターみたいだ。しかし、メロメロラブストーリーの二枚目と違って、変わり者は老けてもそのままでもどっちでもいいのである。

 2000年代くらいまでは、平野ノラが着てきたアメフト選手のような肩パット入りバブル期のスーツや前髪を絶妙にカールしたワンレンなど、十年前のドラマのファッションやメイクは古い、ダサいと見えたが、最近は、そのズレた感じも楽しむ風潮がある。ドラマ自体は何作もシリーズ化してないから、マンネリ感もなし。前作を見損ねていた若い世代も、人気作という知識はあるから、新しい視聴者にもなるし、もちろん前作のファンはついてくる。前作も地上波の再放送はじめ、配信やBS、CSで放送される機会も増え、コンテンツとしての価値もアップ。やっぱり変わり者ドラマは強い。復活を狙うドラマは、まだまだ出てきそうだ。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン