国際情報

中国で起きた女子大生溺死事件 監視カメラの映像めぐり紛糾

中国の「監視社会化」は進む

 事件の解明に監視カメラの画像が使われることは珍しくなくなっている。習近平政権下の中国はいわゆる「カメラ大国」だが、ここで紹介するような事件の展開はやがて日本でも起こり得るのかもしれない。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 10月中旬に中国で、ある女子大生の溺死事件がメディアで大きく取り上げられ、話題となった。場所は、雲南省昆明市を流れるパン龍江という河だ。溺れ死んだのは、同市内の大学に通う女子大生の李さん。まだ19歳に満たない2年生だった。

 事件が幕を開けたのは、9月9日の未明、突然男の声で「人が河に落ちた」と叫ぶのが響いた。

 それからおよそ50分後。李さんの家族は警察の連絡を受けた。2時52分のことだ。そのときの警察の説明によると、李さんは入水自殺をはかったというもので、「友達と約束して」二人で飛び込んだというのだ。だが、一緒に自殺した人物は見当たらない。まもなく警察の説明も、「酒に酔った末の自殺」となった。

 李さんの家族が不信感を募らせる一方、河に落ちた李さんの捜索は続いた。だが、残念なことに11日になって家族のもとに李さんの遺体が届けられた。

 警察の「自殺」という説明に家族は納得できなかった。明るい性格で、家族ともよく話し、悩んでいる様子もなく、何より彼女には楽しみにしていた旅行の予定もあった。いったい李さんの身に何が起きたのか。

 河に飛び込む直前の李さんは、ルームメイトと、その男友達2人と食事をして、そのあと軽く酒を飲むために移動していた。そこで家族は警察に依頼し、最後の店の店内の様子を写した監視カメラの映像を観ることにしたという。この内容、前半の1時間については警察も確認していた。

 だが、残りの2時間の後半に差し掛かった時、家族は驚くべきシーンを目撃することになった。それは、男がベンチシートに横たわる李さんの上に馬乗りになって大声で怒鳴っているシーンと、その後に彼女の顔を押さえつけて平手打ちをするシーンであった。

 これらのシーンがネットで公開されると世間の事件への関心が高まったのは言うまでもない。現在、すでにこの問題では捜査チームが組まれ再捜査が行われている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン