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許永中氏が身を震わせて怒った「堤清二の裏切り」

戦後最大のフィクサーによって明かされる真実とは

 許永中氏といえば、大阪生まれの在日韓国人にして、バブル経済の真っ只中の日本で、「戦後最大のフィクサー」とも「闇社会の帝王」とも呼ばれた人物である。戦後最大の経済事件と言われたイトマン事件やその後の石橋産業事件によって逮捕され、2年に及ぶ逃亡生活などを経て、日本そして韓国で服役した。出所後は表だってメディアに登場することもなく、韓国でビジネスを手がけてきた。

 その許永中氏が9月から10月にかけて相次いでテレビに出演をした。『ゴゴスマ』(TBS系)での単独インタビューを放送したのを皮切りに、『深層NEWS』(BS日テレ)、そして『ミント!』(毎日放送)でもインタビューが放送された。

 テレビで許氏は、バブル時代や「3000億円が闇に消えた」といわれるイトマン事件などについて口を開いた。

 バブルの時代からすでに30年近くが経ち、もはやいまの日本には、狂乱の好景気を生み出す活力はない。あの時代とはいったい何だったのか、またイトマン事件の真相はどこにあるか、当事者であった許氏から聞いてみたくなるのはもちろんのことである。

 だが、これらテレビでのインタビュー以上に、許氏の激しい人生が生々しく綴られたのが、このほど出版された自叙伝『海峡に立つ 泥と血の我が半生』(小学館)だ。

 私は同じく大阪の在日韓国人だった柳川次郎について取材するため、2018年の平昌五輪の最中にソウルで会ったのが、許永中氏との関わりの最初である。当時から自叙伝を執筆中であることは聞いていた。

 この自叙伝の読みどころは、テレビ番組では語り尽くせなかった、表の政財界から裏社会の重鎮たちとの幾多のエピソードである。

 竹下登、渡辺美智雄、新井将敬ら政治家から、日美の創業者・大谷貴義や古都・京都で暗躍した山段芳春、さらには元産経新聞記者で銀座に画廊を構えた福本邦雄ら、名だたるフィクサーたちが続々登場するかと思えば、在日ヤクザの代表格である「殺しの柳川」こと柳川次郎、兄と慕った生島久次、会津小鉄会の高山登久太郎らも描かれる。

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