◆養育費は、増額請求も可能
また、いったん決められた額は、変更が可能です。あまり知られていないことですが、養育費は15歳を超えると裁判所の算定額が増えるのです。これは大人と変わらない体格になり、飲食費衣料費などがかさむからなのだとか。この年齢になると進学費用もシングルマザーを悩ませます。裁判所では、子どもが成長し、事情変更が起きた場合の養育費の増額請求が認められているので、利用するのも一案です。
養育費を払ってもらえない状況下、子どもを私立大学に通わせるために、爪に火を灯すような苦労をしたシングルマザーもいます。本来休みのはずの土日にアルバイトを入れ、週に7日働いてやっと行かせることができたと聞きました。父親が養育費を払えば、彼女はもっと休めたはずなのです。
明石市が検討している未払い者の氏名公表については、本当に効果があるのかといった疑問や、プライバシー面で問題はないかなどの議論が起きています。しかし、これは唐突な案ではなく、すでに海外で導入されていることなので、日本でもついにという思いはあります。実際、名前の公表が嫌だから支払うという父親もいるので、効果はゼロではないでしょう。
とはいえ、未払い被害に遭っているシングルマザーからすれば、とにかくまずお金を払ってほしいという思いが強く、明石市長も9月25日の会見で「どちらかひとつ選ぶとしたら給与天引き制度のほう」と言っています。すでにアメリカでは7割が給与天引きを導入されているのだとか。
自治体による養育費未払い者への罰則は、今後他の地域にも拡がるかもしれません。養育費の受給率が上がり、シングルマザーの負担が少しでも減ることを願ってやみません。そのためにも“逃げ得”を許さない自治体の強い姿勢に期待がかかります。