退任理由についてCEESは「一身上の都合」とするのみだが、佐藤氏らの名前は退任後も財団の登記に残ったまま(11月1日時点)であり、登記事項に変更が生じた場合「2週間以内の変更」を定めた法令に違反している状態が続いていた。急な退任が続いて事務作業が追いついていない様子が窺える。
CEESは「役職者に基本、報酬は支払っていない。評議員会等で日当、交通費は支払っている」とするが、事業を受注する省庁からの天下りに法令上・倫理上の問題を感じないか訊ねたところ、ベネッセもCEESも「問題ない」と回答。
だが、神戸学院大学の中野雅至教授は指摘する。
「公正さが問われる試験の仕事を引き受ける企業の周辺で再就職があからさまに行なわれている事実には呆れます。事業者側の積極的な営業姿勢の現われでしょうが、文科省側も批判は免れないのではないか」
「検証する」というのなら、官民学が一体となって得をしようとした構造と経緯に光をあてるのが本筋だろう。
※週刊ポスト2019年11月22日号