◆「独り勝ち」になる

 現行のセンター入試は、年間50万人が受験する官製テストだ。そのなかの英語の“市場開放”は民間にはまたとない商機となる。

 文科省の調査によれば、2020年度で123万人が受けると見込まれていた。試験の価格帯は5000円台から2万5000円台と幅があるが、仮に中間値の1万円をとって掛け算すれば123億円の巨大市場が出現することが分かる。

 参入する7つの試験のうちとりわけ「最有力の選択肢」(塾経営者)と見られてきたのが、ベネッセコーポレーション(本社・岡山市)が提供する「GTEC」だ。

 開発から20年間で、国の英語力調査で採用されるなどして急伸。年間102万人(2017年度)の中高生が受ける。民間試験活用に反対してきた阿部公彦・東大教授(英米文学)が解説する。

「関係者の間では、制度が始まればベネッセ独り勝ちになると見られてきました。すでにGTECは英語検定として全国の高校で実施されており、教材提供で学校に出入りするベネッセの営業マンは受験情報にも詳しい。教員との人脈を基礎に、1校まるごとGTECという高校も少なくない。営業上有利な分、受験料も6700円と比較的安く、競争上も有利です」

 参入によって手にする収入源は受験料だけではない。

「導入されれば予行演習で受験する人も増える。加えて出題する同じ業者が、テストの対策本で利益を得ることもできる」(阿部氏)

 なお、同じく新たに始まる大学入学共通テストの記述式(国語・数学)の採点業務でも、ベネッセ子会社が約62億円で落札している。

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